第17章 【第十六訓】ドリームキャッチャーな話
「ドッリぃぃぃム、キャッツァァ!!」
道場で銀時と神楽は修行に励む。
ドリームキャッチャー! と声を上げるその顔は真剣そのもの。
○○は膝を抱えて座り、すっかり髪型の変わった銀時を見つめていた。
あんなの銀さんじゃないと呟いていたかと思うと、おもむろに立ち上がる。
「どこに行くんですか、○○さん」
目も虚ろな○○に、新八が声をかけた。
「ちょっと電話貸してもらおうかと思って。美容院予約しに」
のんびりと人差し指を上げ、道場の入り口を指さす。
「頭クネクネじゃない銀さんなんて、メガネかけてない新八君くらい、銀さんじゃないじゃない」
「それって僕がメガネ外したら新八じゃないってことですか!」
新八のツッコミも無視して、○○は入り口へ足を進める。
だが、いくら歩を進めても、一向に入り口には近づかなかった。
「あんなバカのせいで、貴女まで気もそぞろにされてどうするんです」
首根っこを妙に掴まれ、○○はその場で足踏み状態のままだった。
暴走族『舞流独愚』に乗り込んだ際に知り合った、新八の姉。
「美容院は斗夢からお金を取り返してからにして下さい」
夢幻教の信者と化した銀時と神楽。
銀時の髪型にすっかり消沈している○○。
現在まともなのは、妙と新八だけ。
「そういえば、花子ちゃんはどこに……」
○○の首根っこを掴んだまま、妙は左右に首を振った。
「ドッリーム、キャッチャァァァ!!」
奇跡を目の当たりにし、すっかり信者に逆戻りした花子の姿がすぐに見つかった。