第17章 【第十六訓】ドリームキャッチャーな話
「そうね。記憶は楽しいことも辛いことも全て失くしてしまうけれど、夢を失うことは生きること自体の希望を見失ってしまうようなものですものね」
さらに隣に妙が並んだ。
「だから夢はいつまでも夢のままがいいヨ」
さらに神楽が並ぶ。
「お前ら何してんだァァァ!!」
見かねた斗夢のツッコミが入る。
「だから、夢は叶うとさびしいんだよ。って、アレ? 記憶と夢とどっち落とすのがっていう話じゃなかったっけ? 趣旨変わってるよ!」
口をへの字に曲げ、○○は新八に視線を向ける。
「それも違う! 丸々変わってるわァァァ!」
夢を叶えたい者が入信する夢幻教。
真剣味に欠けまくる人間達に、斗夢は不信感を募らせる。
「お前、何しに来たんだァァァ!!」
斗夢は銀時に視線を向けた。
「んなこと言われてもねーもんはねーんだって」
「なんかサラサラヘアーになりたいとかそんなんでいいんじゃないスか」
「じゃ、サラサラヘアーで」
新八のアドバイスをそのまま答える銀時に斗夢は怒り心頭。
「ホントに信者か?」
斗夢の力を見てから入信を決めるという銀時に、斗夢は自らの力を示した。
「ドッーリーム、キャッチャアー!!」
その掛け声と共に、斗夢は銀時に向けて両の手のひらを向けた。
「頭をごらんよ」
斗夢は銀時の頭を指さした。
「バッ……バカな!」
銀時の頭は、前髪パッツンのサラサラおかっぱヘアーになっていた。
ヤッホーイ! と喜ぶ銀時をよそに、周りの面々はドン引きしている。
「イヤァァァ! 今すぐ美容室に行ってパーマネントかけて来てェェェ!」
○○は銀時の頭を捏ね繰り回す。
「何すんだテメェ! せっかくのサラッサラヘアーが!」
「喜ぶ前にヘアースタイルを嘆け!!」
新八の言葉が全ての人の心を代弁しているが、銀時はサラッサラヘアーが手に入ったことで舞い上がっている。
「何か御用があればなんなりとお申しつけ下さい、ハム様」
「いや、ハムじゃないから、トムだから」
願いが叶い、銀時は『夢幻教』の信者となった。
「何か御用があればなんなりとお申しつけ下さい、ハムの人」
さらには神楽の願いまでもが叶えられ、彼女もまたハムの人の元へと膝を屈した。