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~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第15章 【第十四訓】メガネがないと明日も見えない話


「はじめまして、妹さん。私も手伝うわ。食事の支度は旦那を守る主婦の勤めです」
「誰が妹さん? ていうか、それ食器棚です」

 銀時に覆い被さっていた女性は食器棚に向かってお辞儀をしている。

「妹たちに家事を任せきりなんて、ダメな人ね」
「いや、あの、誰一人としてここに兄弟関係にある人はいなくてですね」
「納豆はあるかしら。あ、あった」
「聞いてますか?」

 ○○と食器棚を間違える女は冷蔵庫の中の納豆はピンポイントに取り出した。

「今朝は納豆ご飯と目玉焼きね」

 ○○の手の中に収まる器を見て、女性は微笑んだ。

「レタスとツナと大根のサラダなんですけど、これ」
「ご飯の用意が出来たわよー! 今朝は納豆ご飯とオムライスよー!」
「変わってるし! ていうか、オムライスがおかず?」

 何事もなかったような食卓の風景。ただし、いつもは銀時の横に座っている○○は、神楽の隣へと場所を替えている。銀時の横には納豆をねりねりしている正体不明の女性。
 黙々とご飯に箸をつけている、銀時と○○と神楽。朝ご飯を食べてから来ている新八は腕を拱いて怪訝な表情を浮かべていた。

「……で、誰この人?」

 我に返ったように、銀時は横を見て呟いた。

「アンタが連れ込んだんでしょーが」

 軽蔑の目を新八は銀時に向ける。
 自力で帰宅した銀時ではあるが、飲みに行ったことしか覚えていないという。銀時が帰って来る前に寝ていた○○と神楽は、女性については何も知らない。

「それにアレだ。もし仮に俺が連れ込んだんだとしても、俺が何かするよーな男じゃないってことは、○○のときに証明されてんだろ」

 味方を得ようと、銀時は釈明しながら○○に目を向けた。

「どうだか。私が運び込まれたときは居間で一人で寝かされてたよ。銀さんはこっちで寝てたじゃない。それに、シラフならともかく、ネェ?」

 銀時は言葉に詰まる。
 確かに、酒に飲まれていた状況なら自信はない。

「……あの~、俺、何も覚えてないんスけど、何か変な事しました?」
「いえ、何も」

 あっさりと女性は否定した。
 だが、それは銀時との間に何もなかったという答えではなく、夫婦になるのだから問題ないという前提での答え。
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