第14章 【第十三訓】ベルトコンベアに挟まれた工場長の話
「近藤さん!」
「○○……?」
日が昇りきった頃、ようやく近藤は目を覚ました。
他の隊士達はいち早く意識を回復させていた。
「よかった。近藤さんだけ全然目ェ覚まさないから、このまま一生うなされてるのかと思ったよ」
「そうだ! ででで出たんだよ! 赤い着物の女がァァァ!」
近藤は布団から上体を起こすと、○○の肩を揺さぶった。
顔面蒼白。唇をわななかせている。
なだめるような声で○○は諭す。
「はいはい、わかってますって。もう解決もしてますって。ホラ」
庭の木を指さす。
近藤の目に入ったのは、その木を取り囲んでいる隊士達。
よくよく見れば、木には何かが吊り下げられている。
それは近藤が昨晩見た、赤い着物を着た女の姿だった。
「ぎゃああああああ!!」
昨日と同じように近藤は叫び声を上げた。
頭からすっぽりと布団を被り、ブルブルと震えている。
近藤の声に隊士達が振り返る。
「深呼吸して下さい、近藤さん。幽霊じゃなかったんですってば、ただの天人だったんですってば」
ポンポンと○○は布団越しに近藤の背中を優しく叩く。
近藤は布団から目だけを覗かせた。
「天人……?」
「詳しくは本人から聞いて下さい。近づいて大丈夫ですから」
○○は立ち上がり、おいでおいでと誘導するように右手で招く。
ビビりまくる近藤の背中を押し、木へと近づける。
沖田の横まで近藤を連れて行くと、○○は戻って縁側に座った。
その横には銀時が寝転がっており、さらに向こうには土方が座っている。
二人は報酬について言い合っていた。
双方、解決したのは自分だと言って譲らない。