第4章 自分の大切な人を心配させないように
「は、恥ずかしいので大丈夫です!!」
アリアの脳内にも自分がリヴァイに抱えられる様が浮かんだ。しかし慌ててそれをかき消す。
想像するだけで恥ずかしい。
情けない。
全力で拒否すると、リヴァイはあからさまに嫌そうな顔をした。
「それなら飛びます!!」
「……は?」
「片方のアンカーは動きますし、たぶんできます!」
「…………本気か?」
「はい!!」
意気揚々と頷くアリアだったが、本当は自信がない。できるできないかで言ったら、できない可能性のほうが高い。
だが担がれるか否かならば、できる可能性に賭ける。
「……チッ」
リヴァイの眉間にシワが寄せられ、舌打ちがもれる。
思わずアリアは肩を揺らした。
なにか気に触るようなことを言ってしまったのだろうか。
「わかった。なら俺がお前の後ろにつく」
「……え?」
「またさっきみたいに落ちるつもりか?」
「まさか! あんな思い絶対に嫌ですよ」
「落ちない可能性はない。そのときのために助けがいるだろう」
「……あ、ありがとうございます。重ね重ね申し訳ないです」
頭を下げっぱなしのアリアにリヴァイはため息をこぼした。
「ハンカチの借りも返せてないしな。気にするな」
「借りなんてそんな……」
「いいから早く行け」
「は、はい!」
さっさと行け、という圧がリヴァイの三白眼から放たれる。
アリアは「ひぃー!!」と怯えながらも、左のアンカーを飛ばした。
初の片側アンカーのみの立体機動は不安しかない。だが、後ろにリヴァイがいるという事実がアリアを安心させた。