第17章 殺したくてたまらないという顔
「そうだ、アリア。もうひとつ」
チョコレートの入った瓶の蓋を開けながらエルヴィンが口を開く。
アリアはありがたくその瓶の中から新たなチョコレートを取り、ソーサーの上に乗せた。
「早くても1週間後にはエレンの処遇を決める審議が行われることになっている」
「1週間後……」
厳しい顔をして復唱するアリアに、エルヴィンは軽く頷く。
「なにか、策はあるんですか? エレンを殺さないための策は……」
「もちろん、いくつか考えているよ」
「教えていただくことはできますか?」
アリアは顔を上げて身を乗り出した。
だがエルヴィンは少し困ったように眉を下げる。ちらりとリヴァイのほうを見てからゆるく首を横に振った。
「まだどの策を使うべきかは決まっていない。実際に本人に会い、どのような人物であるかを見なければ、なんとも」
「じゃあ、面会後に教えてください。もしわたしにできることがあったらなんでもします!」
膝の上に乗せていた両手をぎゅっと組む。
エルヴィンの考える策というのがいったいどんなものなのかアリアには想像もつかないが、きっと勝ち目はあるのだろう。
だが、それでもアリアは不安だった。
もし失敗すれば――
嫌な想像を振り払うようにアリアは頭を振った。
「ありがとう。ただ、おそらくはリヴァイがいればなんとかなるはずだ」
「兵長が……」
「あぁ。だから、君の気持ちだけ受け取っておこう」
エルヴィンの宥めるような声にアリアは体から力を抜いた。
落ち着きを取り戻そうと紅茶をひと口飲む。
審議の場で、アリアにできることはなにもない。そもそも幹部でもないのだから、傍聴すらできないかもしれない。
なにもできないもどかしさに、アリアはちいさく息を吐いた。
「きちんと細かいことが決まったら知らせるよ。それまで待っていてくれるか?」
ちらっとリヴァイを見ると、彼は静かに頷いた。
それに促されるようにアリアは「わかりました」と答える。
「はやく、エレンに会いたいな……」
吐息のような呟きはだれにも届かなかった。