第17章 殺したくてたまらないという顔
「情けない……?」
アリアは聞き返すと、リヴァイはバツが悪そうに目を逸らした。
「でもリヴァイさんってずっと前から心配性ですよね」
「……どういうことだ」
アリアは腕を組んで首を傾げた。
「だって、わたしを特別作戦班に入れたのだってわたしがどこかで勝手に死ぬのが嫌だったからなんでしょう?」
リヴァイは口を閉じて小さく頷く。
その素直な様子にアリアは微笑んだ。
「わたしが大怪我を負ったときだって毎日お見舞いに来てくれてたし、リハビリに付き合ってくれたときはわたしがちょっとでもしんどくなったら気遣ってくれたし」
今までのリヴァイの心配性を指折り数える。
思っていたよりもたくさん出てきた思い出に、アリアは思わず「ふふっ」と笑う。リヴァイはなんとも言えない表情でそれを聞いていた。
「だから、情けねぇななんて言われても今さら驚きませんよ」
そこを込めて、アリアはリヴァイを愛している。
だから本当に「今さら」なのだ。
アリアは微笑んだままリヴァイの両手をそっとすくい取った。
「でも、少しはわたしのことを、わたしたち仲間のことを信じてください」
「アリア……」
「わたしだってあなたと出会ったときよりは強くなりました。一人で巨人の群れを切り抜けたこともあります」
調査兵団の兵士に絶対はない。
明日、アリアは死ぬかもしれない。リヴァイの知らないところでひっそりと、悲惨な最期を迎えるかもしれない。
それをアリアもリヴァイもわかっている。
だが、それでも。
「お願い、信じて」