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雨上がりの空をあなたと〈進撃の巨人〉

第16章 忌まわしき日



「と、特別、作戦班、私たちが、ですか?」


 なんとか声を取り戻したペトラは小さな声で問いかける。
 リヴァイはそれに軽く頷いた。


「エルヴィンからの命令だ。あと二人、特別作戦班に人を増やせだと」

「それでリヴァイ兵長はあなたたちを選んだの」


 アリアの穏やかな声でオルオの息が吹き返る。


「どっ、どうして、俺たちが」


 変な呻き声をいくつか出したあと、咳き込むようにオルオは言った。
 それはペトラが最も知りたいことだった。
 何がどうなってリヴァイの目に留まったのだろう。兵団に入団してから長い兵士や強い兵士は他にもたくさんいるのに。


「お前たちの戦績は目を見張るものがある。特にペアでの討伐が多いんだろう? 特別作戦班はただ巨人が殺せればいいってだけの集まりじゃねぇ」


 淡々とリヴァイは話す。
 衝撃がいまだに抜けていなかったが、ペトラは必死に彼の言葉を聞いていた。一言一句聞き漏らすまいと。


「俺たちに必要なのは連携だ。その点を考慮しても、俺はお前らが適任だと考えた」


 ペトラとオルオは顔を見合わせた。
 訓練兵団からのただの腐れ縁だと思っていた。鬱陶しいだけの絆だと。だが、いくつも死地を乗り越え、共に巨人を討伐するたび、こんなにも息が合う相手は他にいないとも感じていた。

 それがここで評価されるなんて。


「だが」


 リヴァイが言う。二人の視線は再び彼へ向く。


「知っての通り特別作戦班の任務は死と隣り合わせだ。巨人の大群を前にして、一人で戦えと放り出されることもある。内臓を握りつぶされることも、雨の中、後には引けない状況になることも」


 アリアがかすかに身動きをした。
 不思議な色を宿した瞳がリヴァイを見る。


「そうなったとき、お前らが逃げることは許されない。死んでもなお、巨人のうなじに食らいつかなければならない。それが俺たちの班に入るという意味だ。そして、」


 リヴァイは真っ直ぐにペトラとオルオを見据えた。


「お前たちは俺を信じなければならない」


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