第13章 呆れるほどおめでたい世界
「アリアさん!」
「巨人捕獲おめでとうございます!」
「ありがとう、二人とも!」
手を繋ぎ、わぁっ! と盛り上がる。
囮役としてかっこいいところを二人に見せることができて本当によかった。
「あっ」
そのとき不意にオルオが声をあげた。何かを見つけて途端に姿勢を正す。急にソワソワとし出した彼に、アリアとペトラは顔を見合わせて首を傾げた。
「俺、リヴァイ兵長に話しかけてきます……!」
「「えっ」」
オルオの言葉にペトラと声がハモる。
確かに彼の目線の先には作戦成功の喜びを遠くで見守るリヴァイの姿があった。まだオルオのことは気づいていない。
「成功を祈っていてくれ、ペトラ」
「いや、成功って……」
「いってらっしゃ〜い」
元々この見学に来たのもリヴァイを何か接点を持ちたかったからだろう。
人類最強と呼ばれ、調査兵団の中でも大幹部であるリヴァイ兵士長と話をできる兵士は限られてくる。こんな機会でもなければ声をかけることさえできないかもしれない。
緊張した面持ちでオルオはリヴァイの方へ歩き出す。がんばれ、とオルオにエールを送っておいた。
「すみません、アリアさん。オルオったら……」
「いいよいいよ、前から話したいって言ってたんでしょ?」
「それはそうなんですけど……あいつ、変なこと言って兵長のこと怒らせないか心配で」
「無愛想だけど、兵長は滅多なことでは怒らないからきっと大丈夫だよ」
ああ見えて本当はとても優しい人なのだ。仲間想いで、繊細な部分もあって、それに気づいていない人の方がずっと多いのが勿体ないと思ってしまう。
アリアの言葉に「そっか」とペトラは呟く。
「あっ、そうだ。ねぇペトラ、聞いて!」
そうそう、この話をしようとペトラたちに話しかけたのだ。
ぽんっと手を叩いて言う。
「さっきわたしね──」