• テキストサイズ

雨上がりの空をあなたと〈進撃の巨人〉

第13章 呆れるほどおめでたい世界



 静寂。

 ハンジとモブリットが巨人に近づき、きちんと固定されているかを確認する。
 その場にいる全員が固唾を飲む中、ハンジは緑の信煙弾を撃ち上げた。作戦成功の合図だ。

 息を吐く。成功した。巨人の、捕獲に。

 ドッと歓声が湧いた。ニファは飛び跳ね、グンタとエルドは拳を突き上げる。ペトラとオルオが木の上から降りてくるのが見えた。
 ガッツポーズをしたハンジは喜びを噛み締めるように頷き、モブリットと顔を見合わせ抱擁していた。


「アリア」


 突然の歓声に驚くグリュックをなだめていると、近くから声が聞こえた。


「リヴァイ兵長!」


 まだ巨人の血がついているブレードをハンカチで拭いながらリヴァイが近づいて来る。アリアはグリュックから降りると、パッと笑った。


「囮役、よくやった」

「ありがとうございます! 兵長もさすがでした! かなりのスピードで走ってた巨人の腱を削ぐなんてやっぱりすごいです!」


 アリアの言葉にリヴァイはわずかに口角を上げた。


「怪我はないか」

「はい! 平気です!」


 ハプニングはあったものの、かすり傷ひとつ負っていない。
 くるりとその場で回転してみせる。


「そうだ、聞いてください! わたし、さっきひとりで巨人を倒したんです! 標的の後ろに隠れてたみたいで、バッて飛び出してきてギリギリのところでズバッ! と!」


 身振り手振りでさっきの状況を説明する。
 この頑張りをだれかに聞いてほしかった。

 リヴァイは口角を上げたまま頷き、アリアの頭をわしゃわしゃと撫でた。


「よくやった」

「えへへ、ありがとうございます! ちょっとほかのみんなにも言ってきます!」


 リヴァイに頭を下げると、アリアはグリュックを引いてペトラとオルオの元へ向かった。二人もアリアのほうに興奮気味に駆け寄ってくる。


/ 458ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp