第13章 呆れるほどおめでたい世界
「相変わらず大変そうだね」
「そうなんすよぉ……」
「ミケ分隊長、本当に厳しいんですけど生き残るためには必要なので頑張ってます」
残念そうに机に突っ伏すオルオとは対照的にペトラはぐっと拳を握る。
「じゃあまたの機会だね」
今回は無理でもまた今度がある。
アリアが言うと、ペトラは嬉しそうに笑って頷いた。オルオもなんとか身を起こして「絶対ですよ!? 絶対、リヴァイ兵長とお話させてくださいね!?」と別方向に期待を膨らませていた。
「そういえば、次の壁外調査で巨人を捕獲するって聞いたんですけど、やっぱりアリアさんもそれに参加するんですか?」
ひとしきり話も盛り上がり、ケーキも食べ終わった頃。ふと思い出したようにペトラが言った。
「うん。ハンジさんの分隊と協力してね。以前にも行おうとしたんだけどいろいろあって結局流れちゃって……。だからハンジさんもすごい意気込んでるよ」
アリアが大怪我を負い、ナスヴェッターたちが死んだあの壁外調査。本来ならばあのときに捕獲作戦を実行する予定だった。
「あの、それって私たちも近くで見学することって可能ですか?」
なにやら迷う素振りを見せていたペトラが、やがて顔を上げて聞いた。オルオはぽかんと口を開けて「突然なにを言い出すんだ」とばかりにペトラを見ている。
「見学? どうだろう……。まずはハンジさんに話を通して、それからミケ分隊長にも聞かないと」
「急になんだよ、ペトラ」
「だ、だって、巨人を捕獲する瞬間なんて滅多にないでしょ? それに……」
「それに?」
少し頬を染めてペトラはちらりとアリアを見た。
「アリアさんが特別作戦班として動いてるところを見てみたくて……」
アリアは片手で目元を覆った。
なんてかわいい生き物なんだ。いじらしい! 愛おしい! わたしが守らなくては!!
「なんとしてでも話をつけてみせるよ!!」