第13章 呆れるほどおめでたい世界
そんな二人に微笑んで、アリアは「そうだ」と立ち上がった。
「ちょっと持ち帰り用のケーキ買ってくるね。二人はそのまま食べておいて」
財布を持ち、ショーケースの前まで行く。
せっかくここに来たのだから、エルヴィンとハンジのためにケーキを買って行こう。そして夜にケーキパーティーを開催するのだ!
エルヴィンもハンジも壁外調査に向けて毎日忙しそうだった。たまの息抜きも必要だろう。なによりアリアも夜中のパーティーに参加したかった。絶対楽しい。
「すみません、このモンブランとタルトと……あとチーズケーキ、持ち帰り用に包んでもらえますか?」
リヴァイも呼んでしまおう。
そう思って、ケーキを3つ注文する。どうしても食べたかったらリヴァイからひと口貰うことにした。
寡黙な店主はひとつ頷くと、手際よくケーキを入れる箱を組み立てていく。それを眺めながら、このケーキたちに合う紅茶はなにがいいかな、と考える。
「お待たせしました」
箱と代金を交換し、アリアは店主に礼を言ってテーブルに戻った。
「どなたかと召し上がるんですか?」
席に座ったアリアに、オルオが不思議そうに聞く。
「うん。エルヴィン団長とハンジさん。あと都合が合えばリヴァイ兵長とかな。前からケーキパーティーをしようって話してて」
「へぇ! 楽しそうですね!」
「そうだっ、よかったら2人も来る?」
羨ましそうに言うオルオと、それに同意するように頷くペトラ。そんな2人にアリアはにこやかに言った。
パーティーの人数は多ければ多いほど楽しいだろう。
その言葉にオルオはパッと顔を輝かせた。
「い、いいんすか!? ぜひ!」
「ちょ、ちょっとオルオ! なに言ってんのよ! 幹部の中に私たち2人がいたら迷惑でしょ!」
「でも、あのリヴァイ兵長もいるんだぜ!? 話せるチャンスを逃してたまるか!」
鼻息荒く身を乗り出すオルオに、ペトラは呆れたようにため息をついた。そして首を横に振る。
「そもそも私たち、壁外調査までミケ分隊長にみっちりしごかれるんだから」
「……あぁ、そっか……」
ふと現実を思い出したのか、オルオは遠い目をしてどこかを見つめた。