第11章 生まれてきてくれてありがとう
さっきまであんなにも苦しそうだったというのに。
アリアは心の底から幸せそうに笑っていた。リヴァイの胸に頬を寄せ、ゆったりと瞬きをする。
「……ちょっと、怖かったんです。ちゃんとリヴァイさんを満足させることができるかなって」
少し湿った金髪を指で梳く。リヴァイは黙ってアリアの言葉を聞いていた。
「だってわたし、一度もそういうことをしたことがなかったし、ただリヴァイさんに任せることしかできなかったし……。でも、」
アリアの顔が上を向いた。泣いて赤くなった目尻がゆるやかに下がる。
「リヴァイさんが気持ちよかったって言ってくれて、すごく安心しました」
「アリア……」
リヴァイは長い息を吐き出すと、アリアの体を強く抱きしめた。肩口に顔をうずめて、言葉にならない感情を吐き出す。
この気持ちを、上手く言葉にしたいと願う。だが出てくるのは「愛おしい」という4文字だけだった。
「こんなに早く終わらせるつもりはなかった」
「これって、早いに入るんですか……?」
「あぁ。男として不甲斐ない」
アリアと繋がれたという喜びのせいで制御が効かなくなったのだろう。本当はもっと長く中にいたかった。
「……なら、もう一度、しますか?」
⠀アリアが囁く。リヴァイの背中に手を回し、いたずらっ子のような笑みを浮かべて。
「後悔しねぇか」
こんな獣を前にして、よくもまぁそんな簡単に己の身を差し出せるものだ。
リヴァイの問いかけにアリアは頷いた。そして、そっと顔を近づけて唇を重ねる。それ以上、言葉は必要なかった。