第11章 生まれてきてくれてありがとう
⠀前へ体重をかける。アリアの手を握りしめたままシーツへ縫いつけ、ただ腰を揺らす。口を開け、ただひたすらに目の前の快楽を貪る。ひと欠片だけ残っていた理性はいつの間にかどこかへ消えていた。
「アリア、アリア」
⠀何度も何度も名前を呼ぶ。アリアは唇を噛みしめ、目のふちに涙を溜めていた。溢れる。涙が、頬を伝う。
「アリアっ、」
⠀その顔を見た瞬間、頭の中でなにかが弾けた。
⠀視界が白く染まり、全身がぶるりと震える。気づいたときにはすべてを出し切っていた。
⠀無意識のまま、擦りつけるように腰をゆるく動かし続ける。大粒の汗が落ちてアリアの涙と混ざり合う。アリアは不規則な呼吸を繰り返していた。
「ぁうっ、ぇ、リヴァイ、さ、んっ」
⠀ろくな身動きもできないまま浅く喘ぐ。
⠀
⠀
「……アリア」
⠀もう、出してしまったのか。
⠀意識が明瞭になっていく。
⠀ようやく我に返り、リヴァイはアリアを見下ろした。激しく掴んでいた彼女の手首は赤黒い痕がついていて、痛みで歪められた顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
⠀息を飲み、慌てて手を離す。陰系を引き抜くとふるりとアリアの体が震えた。熱い息が吐き出される。
「アリア、悪い。大丈夫か」
⠀たっぷりと精液を含んだ避妊具を手早く処理し、恐る恐るアリアに声をかける。
⠀
⠀勝手にひとりで気持ちよくなってしまった。初めてのアリアを置き去りにし、自分の快楽を優先してしまった。
「……うふふっ、きもちよかったですか?」
⠀涙を拭い、アリアは笑う。
⠀その言葉に声が一瞬詰まり、それから脱力した。
「……あぁ、すごく」
「えへへ、なら、よかったぁ」
⠀のろのろと体を起こしたアリアは「えいっ!」とかわいらしい掛け声を上げながらリヴァイに抱きついた。汗ばみ、熱くなった素肌が当たる。
「だいすきです、リヴァイさん」