第11章 生まれてきてくれてありがとう
ベッドにそっと下ろし、リヴァイはシャツを脱ぎ捨てた。冬だというのに彼の体は火照り、うっすらと汗ばんでいた。まだキスをしただけなのに。
これではまるで生まれて初めて女を抱く若造のようだ。
「アリア」
名前を呼ぶ。ここから先を本当にしていいのか、最後の確認だった。
アリアはリヴァイを見上げ、小さく頷いた。
その覚悟がいじらしくて思わずもう一度キスをしていた。ベッドに腰掛け、腰に手をまわす。鍛えられてはいるが男の自分と比べるとやはり細い腰だった。
触れ合うだけのキスをして、もう片方の手でガウンのボタンを外していく。ひとつずつ外れていくたびにアリアの呼吸が浅くなっていた。
「平気か?」
「は、はい」
⠀目を伏せ、アリアは頷く。最後のボタンを外し終わり、襟に手をかけて肩から落とす。軽い音を立ててガウンがベッドに広がった。
⠀下着のみを身につけた姿でアリアは目の前にいた。
⠀薄暗い部屋の中でも彼女の肌は白く輝いていた。上下の揃ったかわいらしい下着は小ぶりな胸を隠している。太ももを撫でるとすべすべとした肌が手のひらに吸いついた。
「手入れ、したんです」
⠀その心地良さにしばらく撫で回していると、恥ずかしがりながらアリアは言った。
「……ありがとう」
「でも、あの、」
⠀両腕を自分の体を隠すように巻きつける。せっかくのアリアの体が隠されてしまった。残念に思いながらまだ隠されていない脚や背中、首筋を撫でていく。
「どうした?」
⠀触れるごとにアリアの体がわずかに跳ねた。
「わたしの体、そんなに綺麗じゃないんです。この前の怪我の傷跡もあるし、それに、小さいころにできた傷も背中に……」
「傷跡?」
⠀兵士になった以上だれでも傷はあるだろう。その傷を見て幻滅するような人間ではないが、彼は微妙に女心を把握できていなかった。
⠀心底不思議そうに聞くリヴァイに、アリアは苦笑いしながら背中を向けた。