第11章 生まれてきてくれてありがとう
⠀ぴく、とアリアの肩が跳ねる。頬が赤く熟れ、そろりと視線がこちらに流れる。リヴァイはそれに気づきながらなにも言わなかった。
⠀指先で耳たぶをつまみ、ふちを親指の腹で撫でる。
「ぁ、あの……」
⠀今にも消えてしまいそうな声をアリアは絞り出す。耳に触れていた手をゆっくりと頬に移動させ、片手で包み込み顔を近づけた。
⠀躊躇いはなかった。唇が柔らかく合わさる。アリアの手がリヴァイの服の裾を掴んだ。少しだけ唇を離し、もう一度。
⠀ぎゅっときつく目を閉じていたアリアも、少しずつ体から力を抜いていく。
「リヴァイ、さん」
⠀キスの合間にアリアが囁く。
「ん?」
「あの、わたし、今すごく緊張してるんです」
「あぁ」
「でもそれ以上に、すごくうれしい」
⠀アリアの両手がリヴァイの頬を包み込む。手のひらに口づけを落とすと、くすぐったそうに彼女は笑った。
「あなたに受け入れてもらえて、わたし、すごく幸せなんです」
⠀胸が激しく痛んだ。だがそれは不快な痛みではない。
⠀リヴァイは目を細め、もう一度アリアにキスをした。
「俺もだ」
⠀互いの息がかかる距離。
⠀この胸の痛みを彼女にも知ってほしかった。
⠀これが幸せというものなのか。
⠀このために自分は生きていたのだと思ってしまうほどに、強烈な感情だった。
「愛してる、アリア」
⠀今も、これからも。
「お前だけを愛すと誓う」