第11章 生まれてきてくれてありがとう
特別作戦班に新たなメンバーが加入してから数週間が経っていた。
寒さも深まり、年越しも目前に控えた12月24日。いつも通りのトレーニングをこなし、サッと汗を流したアリアは食堂に来ていた。
少しずつだがリヴァイたちの訓練にも参加しつつ、それでもなまった体はなかなか言うことを聞いてくれない。前線復帰はまだ遠い。
どうしても感じてしまう焦りと悔しさにため息をついたとき、ふと視界にリヴァイの姿が飛び込んできた。
無意識のうちに彼の姿を探している自分に苦笑しながら、いつもと違う光景に気づく。
リヴァイが人に囲まれている。
彼はあまり大勢を好まない。もちろん兵団に所属する以上、人との関わりはあるが、それでも食事をするときや休日なんかは一人でいることが多い。そんなリヴァイが。
パッと見る限り、集まっているのは幹部たちだ。エルヴィンはもちろん、ハンジやミケ、ナナバなんかもいる。
何かあるのだろうか? 新年会の予定を話し合ってるとか?
気になりつつも、あの幹部たちの間に入る勇気はアリアにはない。また今度、リヴァイ本人に聞いてみよう。
「アリア!」
と、思っていたが早々に見つかってしまった。
ハンジの明るい声を無視するわけにもいかず、慌てて駆け寄る。
「お、お疲れ様です!」
ハンジの声によって他の面々の顔が一斉にアリアを向く。
緊張で顔をこわばらせながら、背筋を正した。まさか呼び止められるなんて。
「アリア。トレーニング終わりか」
抑揚のない、しかしぬくもりを帯びた声がアリアにかけられる。
少しだけ緊張が緩んだような気がして、アリアはリヴァイに微笑みかけた。
「はい! 今日はエルドとグンタと一緒に」
「そうか」
「ところで、みなさんどうかされたんですか?」
満足そうに頷くリヴァイにはにかみ、改めて問いかけた。
どうせ話に参加することになったのだ。気になったことは聞いてしまおう。その問いに答えたのは、リヴァイの横に座っていたエルヴィンだった。
「リヴァイの誕生日祝いに酒でも飲もうと話していたんだよ」