• テキストサイズ

雨上がりの空をあなたと〈進撃の巨人〉

第10章 愛してる



「たとえそれが、君に死を強制させるようなものでもか?」


 アリアは瞬きをした。


「はい」


 迷いなどない。そうしなければならない。それがアリアの責任だった。それが、彼を悪魔にしてしまったことへの責任なのだ。



「だから、団長」



 身を乗り出す。その瞳を見つめる。アリアの声は覚悟によって震えていた。



「これからもあなたは悪魔であり続けてください」


 なにがあろうと。
 どれだけ辛くても。
 逃げだしたくても。

 アリアがそれを引き止める。弟に海を見せるために。彼らを殺してしまった償いのために。

 エルヴィンは浅く息を吸った。青白い頬を大きな手で撫でる。目元を押さえ、「あぁ」と消え入りそうな声で言った。



「そうだ」


 ぱたり、と手が落とされた。
 暗い目で彼はアリアを真正面から見据えた。


「なにがあろうと私は、進み続ける。夢を叶えるために」


 最後の言葉はほとんど聞こえなかった。だがアリアには聞こえた。夢のために。エルヴィンの夢とはなんなのか。それを知る日が来るのだろうか。だがひとつ、わかったことがあった。



「アリア。君と私はよく似ているな」

「えぇ」



 ふたりはとても似ている。


























/ 449ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp