第9章 姉さんの隣で海を見たい
「あぁ、そうだな。捕獲武器はそれでいいだろう」
「本当はもっと改良したいんだけどなぁ、時間がないし……」
「ここまで作れたのなら上々だ。今後何かの役に立つかもしれん。最悪巨人は捕まえられなくても、死者さえ出なければそれでいい」
「ま、そこはリヴァイがいるからなんとかなると思うけど」
アリアは団長室の前にいた。
中からはハンジとエルヴィンの声が聞こえる。
息を吐き、重いドアをノックした。
「特別作戦班所属、アリア・アルレルトです。ハンジ分隊長にリヴァイ兵士長より書類を届けに参りました」
「アリア?」
驚いたような声が聞こえ、ドアが開けられる。
さっき会ったばかりのハンジと、奥には書類を読んでいたらしいエルヴィンがいた。
「お話中申し訳ありません」
「いや、構わないよ」
「リヴァイからの書類? あぁ、ありがとう。ん、よし、リヴァイも必要書類には目を通した。あとは訓練と実験あるのみだ!!」
ハンジはアリアから書類を受け取り、大きな声で叫ぶ。
その目はキラキラと、というよりギラギラと輝いていて、これぞハンジ・ゾエという感じだ。
「そうだ、アリア。結局ケーキ屋さんには誰と行くことになったの?」
るんるん気分で書類を抱えたハンジは、ふと思いついたように言った。
「ケーキ屋?」
「うん。麓にさつまいものケーキを出す喫茶店ができたらしいんだ」
「ほう。それはぜひ行ってみたいな」
「私たちは壁外調査が終わるまで当分無理だよ」
「ハハッ、そこが辛いところだな」
「で、どうするの?」
「え、えぇっと、なかなか一緒に行ける人が見つからなくて……」
なぜだか気恥ずかしい気分になりながら、アリアは恐る恐る言った。
「リヴァイ兵長と行くことになりました」