第3章 正しいと思う方を
続々と名前が呼ばれ、所属班を発表されていく。
願っていた通りの班に入れた者、少し嫌そうな顔をする者、様々な者がいる中、オリヴィアの名前が呼ばれた。
「オリヴィア・スカーレット。ハンジ・ゾエ班長、第3班所属」
「は、はい!」
ハンジは1歩進み出て、緊張で裏返った声を出したオリヴィアにぶんぶんと手を振った。
オリヴィアはちょっと強ばった表情でハンジの元へ向かう。
「アリア・アルレルト。エルヴィン・スミス分隊長、第1分隊所属」
「はい!」
エルヴィンがすっとキースの横に並び、踏み出したアリアに柔和に微笑んだ。
(まさか本当にエルヴィン分隊長の下につくなんて……)
ちらりとほかの仲間を見てみると、ローズはナナバ班にいて、どこか嬉しそうだった。
オリヴィアはさっそくハンジに肩を組まれ、困ったように笑っている。
ハンジは巨人研究の第一人者だが、かなりの変人と噂されていた。訓練兵団で話したときはそうは思わなかったが……オリヴィアのあの反応を見るに真実なのだろうか。
「各自、上官の指示に従い、1ヶ月後の壁外調査への訓練に励むよう。では、解散!」
キースの掛け声の元、アリアたち新兵は皆緊張した面持ちで配属された班について行った。
「改めて、よろしく頼むよ、アリア」
「はい! よろしくお願いします」
ついて来るように促され、アリアは歩き出したエルヴィンの後を追う。
ついたのは第1分隊の執務室だった。
エルヴィンが戸を開けると、部屋の中にはすでに何人かの兵士がいた。彼らは第1分隊の兵士だ。
「みんな、今日からここに所属する新兵の――」
「アリア・アルレルトです! よろしくお願いします!」
敬礼をするとほかの兵士たちは微笑ましそうに目を細めた。
「じゃあ俺たちも順番に自己紹介していくか!」
メガネをかけた兵士がまず声を出した。