第3章 正しいと思う方を
いつものように金髪を1本の三つ編みにしたアリアは昨日の夜に支給された自由の翼の紋章の入ったジャケットを羽織っていた。
オリヴィアたちとそわそわしながら集合場所である広場へ集まった。
「ね、アリア。アリアは入るならどこがいい? あたしはナナバさんの班に入りたいわ!」
オリヴィアはひそひそとアリアに囁いた。
整列した新兵たちもそこかしこで盛んにどの班に入りたいかで喋っている。
アリアはしばらく悩んだあと1人の男の顔を思い浮かべた。
「わたしはエルヴィン分隊長かな。優しそうだし、あの人の班、滅多に人が死なないって聞くし」
ひそひそと囁き返せば、オリヴィアは「たしかに!」と言うように何度も頷いた。
「死なないっていうのはやっぱり重要よね。でもエルヴィン分隊長のそばって疲れそうじゃない? アリアも訓練場を案内してたときすごく疲れてたでしょう?」
「あー……あのときはすごく疲れた」
「ナナバさんもベテランだけど同性だしカッコイイし、あとやっぱりカッコイイ!」
「カッコイイって2回も言わなくても……。でも、そう言われてみればナナバさんもいいなぁ」
まぁ今ここで頭を悩ませていてもすでに班は決まっているのだから無駄ではあるが。
「あ、でもわたし、ミケ班長はなんか苦手かも。無口らしいよ」
実力はたしかと聞くが、それでもコミュニケーションには勝てない。やはり上司ならば話しやすい人が1番だ。
噂ではミケは初対面の人の匂いを嗅いで鼻で笑うらしい。
なんだそれは。いくらなんでも個性が強すぎる。
「総員、傾注」
と、整列した兵士たちの前に長い紙を持ったキース団長が現れた。その背後には分隊長と班長がずらりと並んでいる。
アリアとオリヴィアは慌てて口を閉じ、キースを見上げた。