第7章 愛情は生きている
男たちが一斉に振り返る。怪訝な顔をした後、まさか、というように彼らは顔を見合わせた。
「俺の連れになにか用か」
調査兵団精鋭中の精鋭。小柄だが、それを感じさせない圧に男たちはたじろいだようだった。
男たちの間を通り、リヴァイはアリアの手を掴んだ。ぐいっと引っ張られてリヴァイの背後に隠される。
「用がないなら構わねぇな?」
「……えぇ」
じ、とリヴァイを見ていた男の目線が動き、アリアを捕らえる。にこりと胡散臭い笑みを浮かべた。
「アリアさん。不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。では、失礼します」
優雅に一礼し、彼らは人混みの中に消えた。
声掛けが失敗しても品があるな、とアリアは思う。
ほう、と思わず感心してしまったとき、リヴァイの顔がくるりとこちらを向いた。
「なにもされてねぇな?」
気遣うような声に、アリアは頷いた。
「はい。助けていただいてありがとうございます」
リヴァイが来なければあのまま連れていかれたところだっただろう。もしくは彼らを殴り飛ばしていたかもしれない。
いくらピンチでも調査兵団の心象を悪くするようなことはしたくなかった。
「ならいい。……少し抜け出すぞ」
「え?」
このまま広間の隅っこで空気に徹するつもりだったアリアは、拍子抜けした声を出した。
リヴァイは「なにか問題が?」とでも言いたげにアリアを見下ろしている。
「そんな、いいんですか?」
「俺たちがいなくなったところでだれにもバレないだろ」
「そ、そういうものですか」
「そういうものだ」
リヴァイの提案にアリアは悩む。
だが、この息苦しい空間から抜け出せることはとても魅力的だ。
「……わかりました」
アリアはリヴァイを見て、にこりと笑った。