第6章 お前が雨に怯えるのなら
澄んだ青空の下、アリアはグリュックの手綱を握りしめた。
アルミンの不安げな顔が頭から離れず、罪悪感がちくちくと心を刺した。
「アリア」
隣を走っていたカミラがアリアを呼んだ。
振り返ると、彼女はいたずらっ子のような悪い笑みを浮かべている。
「あんたの弟、あんたに瓜二つで可愛いじゃん」
「アルミンはあげませんよっ!?」
「もらわないよ。あたしが欲しいのはアリアだし」
「……それ、いつも言ってますけど飽きないんですか?」
「好きな人に好きだと言うことに飽きなんてこないよ」
「おらカミラっ! 口説いてる暇があるなら集中しろ! ここは壁外だぞ! ナスヴェッターからもなんか言ってやれ」
「エッ、いや、遠慮しときます」
「おいお前ら」
壁外だと言うのにまるで訓練中のようなやりとりにアリアが脱力しかけたとき、リヴァイの低い声が先頭からした。
全員が口を閉じ、さっと前を向く。
「もうすぐ陣形の展開だ。お喋りは補給地点についてからにしろ」
「す、すみません!」
そうだ。つい流されそうになっていたがここは壁外。今は壁外調査を行なっているんだ。集中集中。帰ってからアルミンに謝ろう。
そのために今は──
「あ〜あ、エルマーのせいで怒られた〜」
「はぁ!? 元はと言えばてめぇが……!」
「お、おお、お二人とも! リヴァイさんが、こ、怖い顔してますから!!」
集中しなくちゃ!!