第6章 お前が雨に怯えるのなら
「ぼ、僕たちが特別作戦班……しかも、あ、あのリヴァイさんの直属の部下だなんて、そ、そんな……」
その日の夕方、アリアとナスヴェッターは食堂で話をしていた。話題はもちろん配属先のことだ。
「残りのメンバーはエルマーさんとカミラさんという方らしいです」
「ど、どうしよう、アリア」
「やっぱりそう思いますよね」
「今すぐにでもほかの班にしてもらわなきゃ」「新しく二人の人と話さなきゃいけないなんて」「え?」「え?」
ナスヴェッターとアリアは顔を見合わせ、同時に吹き出した。
「ナスヴェッターさん、心配するとこそこですか?」
「君だって! リヴァイさんに直接指導してもらえるなら死ぬ確率はグッと下がること間違いなしなのに、それを蹴ってほかの班へ移りたいなんて」
「だ、だって……」
いきなり荷が重い、とか、まだ入団して1年しか経ってないのに、とか、アリアはぶつぶつと呟く。それを見ながら、ナスヴェッターは微笑んだ。
なにをそこまで心配することがあるだろうか。
「大丈夫だよ、アリア。壁外調査はまだ先なんだし、訓練すれば今以上に強くなれる」
リヴァイの言った「実力も考慮している」というセリフに嘘はないのだろう。前回の壁外調査で共に戦ったからこそわかる。
アリアは納得していないように唇を尖らせた。
「君と僕が組めばどんな巨人だって怖くない。……って、僕は勝手に思ってるんだけど、あぁ、ごめんいきなりこんなこと言われても気持ち悪いよね。な、なに自惚れてるんだって言ってくれ……」
言ってから、ナスヴェッターはあわあわと顔を青くさせたり赤くさせる。
そんなナスヴェッターにアリアは笑った。堪えきれないように口角が上がっていた。
「たしかにナスヴェッターさんがいればどんな巨人だって倒せちゃいそうな気がします。すみません、ネガティブなこと言ってしまって」
「う、ううん。急なことだし仕方ないよ。一緒に、頑張ろうね」
「はい!」
さっきまでの不安そうな顔はどこへやら。
アリアは元気よく頷いた。