第6章 お前が雨に怯えるのなら
その翌日、昼過ぎだっただろうか。
アルミンたちと共に昼食を食べようとしていたアリアの元に一人の男がやってきた。
「アリア、いるか」
避難所の扉が軋みながら開く。
その声をアリアは知っていた。
知っていたからこそ、困惑した。
「リヴァイさん?」
現れたのはリヴァイだった。
急いでいるのか、早足でアリアに近づく。
「本部に戻れ。キースから話がある」
「い、今からですか?」
「あぁ」
キースからの命令なら仕方ない。
「姉さん」
軽い力で服の袖が引っ張られる。
不安そうな顔のアルミンがじっとアリアを見上げていた。その隣でエレンとミカサもアリアとリヴァイの顔を交互に見比べていた。
「ごめんね、アルミン、ミカサ、エレン。帰らなきゃいけなくなっちゃった」
「もう、行っちゃうの?」
「うん。ごめんね」
今にも泣き出しそうにアルミンの目が歪んだ。
心が締めつけられる。だがもう行かなくては。
「またすぐ来るから」
「絶対だよ?」
「うん。絶対」
最後に一度ハグをし、アリアはリヴァイに頷いた。
緊急の招集がなんなのか皆目見当もつかない。それでもそれに応えるしかない。
歩き出したリヴァイの後をアリアは追いかけた。