第6章 お前が雨に怯えるのなら
テントの屋根を打つ雨音にアリアは目を開けた。
う、と呻き、上半身を起こす。そこはアリアに割り当てられたテントの中だった。
「おはよう、アリア」
「お、はようございます、ニファさん」
すでに身支度を進めているニファに挨拶を返す。
アリアは寝ぼけた頭で考えた。
眠ったときの記憶がない。たしか不寝番をするというリヴァイに無理を言って隣にいさせてもらったのだ。つまりそこで寝落ちしたということか。
(じゃあ、リヴァイさんが運んでくれたってこと……?)
よく眠れた証拠なのか、体が昨日の夜よりずっと軽い。疲れがすっかり取れていた。
(後でお礼を言わなきゃ)
「アリア、そろそろ準備しないと置いてかれるよ」
「あ、はい! わかりました!」
ニファに急かされ、アリアは慌てて寝袋から這い出た。
シャツだけを着替え、ボサボサに絡まった髪の毛を1本の三つ編みにしていく。湿気のせいでうまくまとまらない。
「ニファさん!」
悪戦苦闘し、なんとか結ぶ。
テントから出て行こうとするニファをアリアは思わず呼び止めてた。不思議そうにニファは振り返る。
「後ろの髪、すごい跳ねてます」
ぴょんっと彼女の後ろ髪がかわいらしく跳ねていた。
ニファは指さされた箇所に手を当て、恥ずかしそうにぽっと頬を赤く染めた。