第5章 男が悪魔になることを望む女
アリアへ
もうすぐ仕事に行かなければならないため、これを急いで書いている。字が読みづらくなってしまうことはどうか許してほしい。
端的に言おう。君のおじいさんが今朝倒れた。
幸いアルミンが見つけてくれて私を呼んでくれた。大丈夫、命に別状はない。数日寝ていればすぐに良くなるだろう。
だが、おじいさんの世話をするにはアルミンは幼い。私も1週間ほど内地に診療に行かなくてはならなくなってしまった。もちろんカルラができるだけのことはしてくれる、ただ、もし万が一夜中になにかあったとき、対応できる人間がいない。
そこで君に頼みがある。
2日でいい。おじいさんのそばにいてくれないか?
君が兵士として働き、忙しいのは理解している。だが、どうか、アルミンを安心させてあげてほしい。気丈に振る舞ってはいたが、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
丸2日、おじいさんに何事もなければもう大丈夫だろう。
君も知っているだろうが、君のおじいさんの体調はここ数年芳しくない。君が家にいないときに(不謹慎だが)亡くなってしまう可能性もある。
だから今のうちにおじいさんと話しておいてくれ。
家族を大切にしてくれ。
頼む。アリア。
グリシャ