第4章 自分の大切な人を心配させないように
かくかくしかじか。
ごくごく簡単にアリアはミケにリヴァイへのプレゼントを渡す経緯を説明した。
ナナバも興味深そうに相槌を打っていた。
「なるほど。事情は理解できた」
「すごいな、アリアは。私はまだリヴァイと話をしたことなんてないのに」
「見た目に合わず意外と優しい人なんですよ」
「見た目に合わず、ふふ、たしかにそうだ」
ナナバは以前、ハンジとリヴァイが話していたところをふっと思い浮かべる。
話、というよりハンジが喋り続けているだけで、リヴァイも面倒くさそうにしていたが、きちんと話は聞いていた。
根は真面目な人間なのだろう。見た目が怖いだけで。
「俺も話をしたと言っても業務的なことばかりだ。それにあいつも自分のことを喋るタイプではないからな……」
ふむ、と難しい顔をしてミケは考える。
ハンジもミケもダメ。ほかにリヴァイと親しい人となると……だれだろう。
こうなるとやはりなにか無難なものを選ぶべきなのだろうか。
「あぁ、そうだ」
アリアが諦めかけたとき、ミケが思いついたように口を開いた。
「リヴァイは掃除が好きらしい。綺麗好きで自分の部屋の掃除をしているのを通りがかると見かけるな」
「掃除が好き……?」
「掃除道具なんてどうだ?」
「掃除道具……!?」
「本人に掃除について聞いてみると、雑巾を一番信頼しているらしい」
「ぞ、雑巾を、信頼……!!?」
たしかにいつもリヴァイが身につけている衣服にシワは1つもなく、清潔感が溢れているなぁと思ってはいたが……。
「地下街にいたのに綺麗好きなんですね……」
リヴァイの新たな一面に思わず呟くと、ナナバが緩く笑った。
「むしろ地下街にいたからこそ、なのかもね」
「でも掃除が好きなら掃除道具なんて揃えてそうです……」
「力になれなくてすまないな」
律儀に謝ってくれるミケにアリアは大慌てで首を横に振った。
「掃除好きっていうのを知れただけでも十分です! もうちょっと考えてみますね。お2人とも、ありがとうございました!」