• テキストサイズ

雨上がりの空をあなたと〈進撃の巨人〉

第4章 自分の大切な人を心配させないように



 顔を引きしめ、アリアは前に立っていた巨体を見つけた。


「ミ、ミケ班長」


 緊張で強ばる口をなんとか動かして、アリアは彼の名前を呼んだ。

 だれかと喋っていたミケはアリアの声に振り返った。


「お聞きしたいことがあるのですがお時間大丈夫ですか?」

「あぁ。お前はたしか……エルヴィンの分隊の――」

「アリア・アルレルトと申します」


 慌てて敬礼をするが、ミケは手を振ってそれを解くように促す。
 一言礼を言い、アリアは後ろで手を組んだ。


「やぁ、はじめまして。アリア」


 ミケの後ろから彼と話していたらしい人が姿を現した。

 その姿はアリアもたまに見かけるものだった。


「ナナバ班長。はじめまして」


 一気に2人の班長を前にして、アリアは口の中がカラカラになるのを感じる。
 出直したほうがいいのだろうか。

 うろうろと目線を泳がせていると、ミケは無言で近寄り、身を屈めた。
 首元に鼻を寄せられる。アリアは不意にミケの初対面の人にする癖を思い出した。


「すまないね、アリア」


 ナナバが苦笑しながら言う。
 アリアはいえ、と首を横に振った。


「これがミケさんの癖だということは存じているので」


 スンッ、と鼻を鳴らす音が聞こえた。

 これがミケの癖、らしい。
 初対面の人の匂いを嗅ぎ、


「フッ」


 鼻で笑う。

 
「それで、聞きたいこととはなんだ?」

「あ、そのまま入るんですね」


 なんだか気の抜けるやり取りにアリアは複雑な顔をした。
 緊張が少し和らいだような気がする。

 アリアは一度頷き、口を開いた。


「リヴァイさんの好きなものをなにかご存知ですか?」



/ 531ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp