第12章 予定外の連続
とは言っても今できることはない。もし万が一スマホの中を見られたとしても何も残っていない。電話番号やアドレスは覚えているし、メールや着信履歴は一定時間で自動的に消される。めぼしい情報はないだろう。あとは私が話さなければ問題ない。
スコッチが出てきて、ライが入れ替わりで入っていく。バーボンも一度戻ってきた。
「洗濯はもう少し時間がかかるので……少し話しませんか?」
あの時去り際に言ってたな。話したいことなんてないけど。
「なあ、あの時のあれ……」
『あれ?』
「お前らってどういう関係?」
『……もっと他にないの』
「気になりますか?」
ニヤっと笑う。睨みつけるけど効果なし。
『馬鹿なこと言わないで』
「じゃあさっきのは……」
「スコッチ」
バーボンはしーっと口に指を当てる。スコッチもハッとしたような表情を見せる。
『なに、さっきのって』
「気にしないでください」
やっぱりシャワーを浴びてる間に何かあったのだ。
『教えてよ』
「駄目です」
『ケチ』
「なんとでも言ってください」
この態度ムカつく。バーボンに近づいた。
「無理矢理聞くつもりですか」
『そう』
「聞いても何にもならないと思いますが……」
やれるものならと余裕そうな顔。あと数ミリ……。
ゴホン
いつの間にかライがそこにいる。
「もう少し周りを気にしろ。スコッチもなぜ何も言わない」
「いや……」
「はあ……またお預けですか」
洗濯物取ってきます、とバーボンが出ていった。
「お前は誰にでもそうするのか」
『この世界で口を割らせる方法としては常套手段じゃない?』
「……もう少し自分を大事にしたらどうだ」
そう言われて言葉に詰まる。自分を大事にって考えたことない。
『自分の扱い方くらい自分で決めるわ』
無性に腹が立つ。何も知らないくせに……。
『寝る』
そうだ、わざわざ話す必要なんかないのだ。さっさと寝よう。そう思い、ベッドに横になった。もしかしたら隣に誰か来るかもしれないので少し端による。
『明日、適当に起こして……』
横になった途端睡魔が襲ってきて、疲れてたんだなと改めて実感する。それに抗うことなく意識は落ちていった。
私のその様子を見て、3人が呆れ顔でため息をついたことなんて知る由もない。