第12章 予定外の連続
慣れない電車と予定外の取引の対応。いつも以上に疲れている。車で来れば良かったなんて思ったけど、この感じでアジトまで戻れる気はしない。
『んーどうしよ』
下着の換えはない。だからといって洗ってないものを身につけるのは嫌だし……悩んだ結果バスローブだけ纏った。着ていた物を抱え、バスルームから出る。
『これ洗いに行ってくる』
フロアマップで洗濯機が置いてある場所を確認しながら言う。ちょっと遠いな……。
『それじゃ……』
「おまっ……その格好で行くのか!?」
『そうだけど?これ以外にないし』
スコッチが慌てたように言うけど、別に見られたって減るもんじゃないし……お腹の傷は別だけど。
「……僕が行ってきます。貴女は待っていてください」
『え、でも悪いよ』
「構いませんよ」
バーボンに抱えていた服を取られ従うほかない。
『ありがと。じゃあお願いします』
ドアが閉まるのを確認して振り返るとスコッチと目が合う。
『なに?』
「あ、いや、なんでもない」
そのままバスルームに消えていく。
『なんか変?』
そっぽを向いたままのライに聞く。
「……問題ないと思うが」
2人とも様子が変。シャワー浴びてる間に何かあったのかな?首を傾げながらスマホを開くと不在着信が何件か。
『あ、やば』
報告するの忘れてた。多分ベルモットからだ。慌てて折り返しの電話をかける。
「Hi」
『私。ごめん、シャワー浴びてて気づかなかった』
「それなら仕方ないわ。今日結構大変だったみたいね」
『もう誰かに聞いたの?』
「バーボンよ……それでその組織にはなんて?」
『別の日に1人で来るように伝えた。その時の対応は任せるけど、今日は私の独断で動いたから何かあったら私に……』
「大丈夫よ。元々あまりアテにはしてなかったし、ジンにだけ媚び売ってるような連中だったから」
『それならいいんだけど……最近そういう相手増えてきてる気がする』
「確かに……ちょっと考えないといけないわね」
『できることあるなら言って。なんでもやるから』
「頼りにしてるわ……あ、あと」
『ん?』
「一応警告はしておいたけど、貴女はもう少し危機感持ちなさいね」
私の返事を待たずに切れる電話。警告?危機感?今一緒の3人がNOCかも知れないからってこと?……確かに気が緩んでたかも。