第12章 予定外の連続
『っ……』
鈍い痛みに声にならない悲鳴。もう本当に調子が狂う。
『帰る』
「どこへ?」
『どこって……』
「もう電車ないんじゃないか?」
『は?』
「そうですね。この時間だと途中までしか帰れませんよ」
『……』
電車って1日中動いてる物じゃないの?それを言うとまた馬鹿にされそう。もう遅いのかもしれないけど。それに来た道もちゃんと覚えてないし……。
『貴方達はどうするつもりなのよ』
「一泊して帰る予定だったけど……」
「はあ……だから3人でいいって言ったんだ」
「いてくれたことで助かったんだからいいじゃないですか」
『……泊まるとこ決まってるの?』
「いくつかピックアップしてますが決めてはいません。泊まれなくなる可能性もありましたし」
「まさか一緒に……?」
『帰れないならしょうがないでしょ……それにシャワー浴びたいし、着替えないから今着てるの洗いたいし』
渋るスコッチをなんとか言いくるめてホテルに向かったものの。
「1部屋しか空いてないんですか?」
「申し訳ございません」
時間のせいなのか空いているのは2人用の部屋1つだけ。
「参ったな……」
「二手に分かれるか?」
「どう分かれるつもりですか?」
顔を見合わせる。
『別に誰でも構わないけど……』
「ならオレと……」
「なんで僕がこいつと一緒なんですか」
「こっちのセリフだ」
なんてくだらない論争が始まる。一晩くらいいいじゃないか。
『あの』
先程から申し訳なさそうな顔のスタッフに声をかける。
「なんでしょうか?」
『料金ふた部屋分払うので、同じ部屋使わせてもらえますか?』
「「「は?」」」
こういう時だけハモるな。
「しかし……」
『バスローブとタオルだけ人数分用意していただければ……』
「……お待ちください。上の者に確認致します」
電話を始めるスタッフを横目に3人の方を向き直る。
「何考えてるんですか」
『いつまでもくだらない話してるからでしょ』
「だからって同じ部屋は……」
「お待たせ致しました。今回はそう対応をさせていただきます」
『助かります。無理言ってすみません』
「いえ。ではこちらに……」
手続きを済ませ部屋へ向かった。そこは2人部屋といっても割と広い……もちろんベッドは2つだけど。
『先シャワー浴びるね』