第12章 予定外の連続
「ひいっ……」
それを見て我先にと逃げ出す。なんて情けないヤツらだろう。まあ、逃げた所で意味などないが。
「ぐあああっ!」
何人か撃たれたか。ライとスコッチの狙撃に、逃げ出そうとしたヤツらは足を止める。どちらに進んでも地獄だ。その隙にバーボンの隣へ立つ。
『貴方わざとね?』
「さて、なんのことだか」
『後で覚えときなさい』
平然と答えるバーボン。その表情はいつもと変わらない。
何人かは逃げるよりこちらを始末することを選んだようで、どこから持ち出したか鉄パイプを握っている。
『まじめにやらないと怪我するわよ』
「あれ、守っていただけないんですか?」
『普通立場逆でしょ……』
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「ど、どうかっ、命だけはっ!」
無様に命乞いを始める男。
『都合良すぎるんじゃない?』
「申し訳ありません……!」
「……で、どうするんです?」
本当なら始末していいんだけど、今日車じゃないしな……汚れたら面倒だし。
『……それなら最後のチャンスよ』
紙に日付と場所、時間を書いて渡す。
『ここにあなた1人で来なさい。もう次はないから』
そう言って踵を返した。
『終わったわ。下で待ってるから』
ライとスコッチに告げる。
「あれでよかったんですか?」
『さあね。必要なければその場所で消されるから』
「しかし、助かりましたよ」
『なんで通信機つけてないのよ』
「不審に思われるかと」
『通話状態にしたのは?』
「聞こえれば来てくれると思って」
『あのね……』
「怖かったですよ」
『もっと怖がる表情つくってから言いなさい』
ライとスコッチはまだ来ない。片付けに手間取ってるのかな……。
「ご褒美ください」
『貰いたいのこっちよ』
「そうですか、それなら……」
距離を詰められる。嫌な予感。
『何……?』
顎を持ち上げられる。
「少しだけですから」
『ちょっ……』
あと数ミリでキス……という所で聞こえる足音。
「……お前らってそういう関係?」
「すまない。邪魔したか」
「本当にタイミングが悪いですね」
『誤解するようなこと言わないで』
「誤解?だってあの時……」
まだ何か言おうとするバーボンの足を思い切り踏みつける。でも、足を引かれて自分の足裏を痛めただけだった。