第12章 予定外の連続
ベースはカモフラージュ。スコッチは狙撃をするから、もう1つの中身はライフルだろう。
10分くらい経っただろうか。
「スコッチ」
バーボンが戻ってきた。
「あの男は?」
『さあ』
バーボンの顔は不機嫌そうに歪む。ライとバーボンは仲が悪いのだろうか。先程から2人が会話しているのを見ていない気がする。
「ほら、これで帰れ」
ライが戻ってきてその子に切符を渡した。
「じゃあ、残念だけどこれで終わりだな」
スコッチもベースを戻し始めた。そこで電車のアナウンスが入る。私達が電車に乗るまでその子はそこにいた。
『ねえ、あの子誰?知り合い?』
「……ああ、ちょっとな」
ライの顔は少し強ばっている。もしかして知られたらまずいことだったのか……?
『まさか兄妹とか?』
「……妙な詮索は辞めてくれ」
私も先程同じことを言ったからそれ以上聞くわけにもいかず。電車は目的の駅に着いた。
今日の取引は相手から場所の指定があった。しかも、取引現場に行くのは1人だけ。ちなみにこれはバーボンの役目。ライとスコッチは離れたビルで狙撃の待機。肉眼でも見える距離だけど。私はあくまで監視なのでスコッチと一緒にいることにした。バーボンが襲われるようなことがあっても、全力で走ればギリギリ助けられる距離。
「あいつ大丈夫かな……」
『下手に動く方が危険よ』
「だって相手のヤツら結構人数いるぞ」
『今回みたいな相手って大したことないくせに警戒心だけは強いから……条件守ってれば何もしないわ』
口寂しいので飴を口に放り込んだ。本当はタバコ吸いたかったけど、基本は自分で買わない。1箱吸いきるのにかなりかかるから、その時近くにいる人にもらうことが多い。ライにもらおうとしたら、かわりに飴をいくつか渡された。
「お前はこれでいいだろ」
とか言って。子供扱いされて腹が立つ。
『ねえ』
「ん?」
『ライとバーボンって仲悪いの?』
「んー、反りが合わないみたいだな。おかげで3人の任務の時大変なんだ」
スコッチを中継点にして会話するのだろう。それは確かに大変かも。
「あんた、普段どんな任務してるんだ?」
『……取引に行ったこともあるし、ハッキングとか情報収集もする。狙撃もやったし、変装して潜入することもある』
「へえ、なんでもできるんだな」
『突出した才能がないだけよ』