第1章 組織との出会い
「そうだ!セカンドだ!あの時お前も一緒に処分していれば……!」
『処分……?セカンドは任務中に亡くなったって……』
「ふははっ、馬鹿め、そんなことを信じていたのかっ!」
あの時のことが頭の中を駆け巡った。
セカンドが死んだ……そう告げられた日のことが。
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セカンドと私は、物心ついた時から一緒にいて、訓練も勉強も競い合ってきた。彼女がいたから。もっと技術を磨こうと頑張ったし、何より楽しくて仕方なかった。
他の訓練生がいなくなって、彼女も2人きりになったときは不安になった。
「……2人だけになっちゃったね」
『そうだね……』
「ねえ、ファースト」
『何?』
「私より先に死んじゃ嫌だよ」
『そんなこと……』
「貴女は強い。私よりもずっと。きっとこの先、私より任務に出ることが多くなると思うの。だから……」
『ふふっ……大丈夫。私は死なない。だから、セカンド、貴女も死なないでね』
「うん、わかった」
その会話からしばらくして、次の取引に同行するよう指示があった。
『今回の取引、セカンドも行くの?』
「そうみたい。相手が大きな組織なんだって」
『そんなに警戒しなくても……』
「万が一ってこともあるしね。それにね私、ファーストが仕事してるの見るの楽しみなの!!」
確かにお互いの任務が被ることは今までなかったから、私もセカンドの仕事姿は知らない。そう考えると、楽しみかもしれない。
『じゃあ、いつも以上に気を張らないと……』
ピロン
メール?ボスからだ。
《今回の任務はセカンドも連れていく。2人で別行動になるかと思うが、よろしく頼むよ》
そのメールを覗き込んだセカンドは残念そうにため息をついた。
「なあんだ、一緒に行動できる訳じゃないんだね……って言っても当たり前か」
『そうだね、仕方ないよ』
「……じゃあ、任務終わったらどんな感じだったか教えてね!もちろん私も話すから!」
『わかった……あ、そろそろ行こうか。じゃあ、どうか無事で』
「もちろん」
コツンとこぶしを合わせて別れた。
……その会話が最後になるなんて思いもせずに。