第1章 組織との出会い
セカンドが死んだ。そう報告が上がったのは、私達がアジトに戻って2時間後のことだった。
『……詳しいこと、教えて貰えますか?』
その報告をしに来た構成員に聞いた。
「ええっと……逃げきったヤツの話じゃ、敵組織の流れ弾が……当たり所が悪かったみたいで……」
『そうですか、ありがとうございます』
そう言って自室へと向かった。
そして、気づいたら自室のベッドの上にいた。
突然すぎる彼女の死。数時間前に話していた彼女はもういない。その事実を、どう受け入れればいいのかわからなかった。何より、彼女がこんな任務で死ぬはずがない。
私とセカンドの配置が違ったら、彼女は死ななかったのではないか。
私が敵組織を殲滅していたら、彼女は無事に帰ってきたのか。
セカンドが助かったかもしれない、今更遅すぎる考えが頭の中を巡り、皮肉にも1番納得できる答えは、"組織に消された"可能性。しかし、それを確かめる方法はなかった。仮に、それが現実だったとして、誰がそれを肯定するだろう……。
次の日から、任務以外の日は訓練と勉強に没頭するようになった。おかげで、拳銃の扱いは組織内では右に出るものはいなくなったし、体術に関しては、組手をする前から相手が降参を告げた。
自身の能力が上がるのは楽しかった。でも、心の奥に空いた穴が閉じることは無い。
この組織に留まって、任務を全うしていくのが、私の役目。セカンドが居なくなった分まで私がやらなければ。
そう思ってたのに……。
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「あれは事故じゃない……セカンドを殺したのは私だ!あの女め……今思い出しても腹が立つ」
ボスが嘘をついているようにはとても見えなくて。突きつけられた現実を、どう受け入れるべきかわからなくて。
『どうしてですか……?何故彼女を……?』
やっと絞り出した言葉は、か細く震えていた。
「私に歯向かうからだ。今まで育ててやったことに恩も感じない、そんなクズは私の組織に必要ない……今のお前もそうだ!」
この男がセカンドを殺した。その可能性を否定し続けた自分が愚かで仕方ない。怒りがフツフツと沸き上がる。
「しかし、あれが死んだ瞬間のことは忘れん……あの苦痛に歪んだ顔は最高だった!」
その言葉に沸き上がる怒りは、殺意に変わった。