第111章 交わる銀色※
『な、に考えてるの……!』
やっとキスから解放されて、荒い息を吐きながら2人を睨む。この部屋が何なのかもわかってないし、ジンが2人いる理由なんて更に意味がわからない。それらが解決した後で好きにすればいい。そう思うのに2人は鼻で笑った。
「考えたって仕方ねぇだろ」
『なっ……いつもだったらもっと焦るなりするでしょ?!脱出の方法とか!どうしてジンが2人いるのかとか!』
「そうかもな。だが、出入口はねぇし、脱出に使えそうな道具もねぇ。方法なんて考えるだけ無駄だ」
『……本気で言ってるの?』
「冗談を言う必要がどこにある。それに、脱出の方法以前に俺が2人いる理由なんざ考えてわかると思ってるのか?」
「無駄に悩むくらいなら素直に受け入れて楽しんだ方がいいだろ?」
2人の手が服の中に入って肌を直接撫でていく。ゾクゾク駆け上がる快感に耐えようと歯を食いしばった。すると、耳元で小さく息を吐く音が聞こえて身体がビクッと震えた。
「気に入らねぇ事でもあるのか?」
『っ、ん……』
低い声で囁くように言われて耳の縁を舌先が這った。声を抑えようと口を押さえる。そして、抵抗する間もなく簡単にズボンが脱がされる。
こんな状況だが……少なからず期待する気持ちがあるのは確かだ。任務で複数人とした事はある。でも、怖い。何かが変わってしまうような気がして。
そんな私の思いに気づいたのか、どちらかが舌打ちをした。
「……なんだ」
『……』
現実か夢か、どちらとも言えないこの状況。この部屋自体も異質だが、それ以上に何故か2人いるジンに説明がつかない。
キスの仕方や肌への触れ方が2人ともいつもと同じなのだ。こんな事、真似しようとしてできるものじゃない。つまり、2人とも間違いなくジンなのだ。
ジンの事は本当に好きだし、セックスだって気持ちいいし、無駄に悩まず受け入れてしまえば楽なのだろうけど……でも、2人のジンを受け入れて普通に戻れるかわからない。
なんと言おうか迷っているとそっと触れるだけのキスが落とされた。
「相手は俺だ。何を怖がる理由がある」
「余計な思考は捨てろ」
『でも……』
「……チッ」
舌打ちが聞こえたかと思えば、1人は私の脚の間に入り込み、1人は上の服を脱がし、私の両手首を片手で掴んだ。
「安心しろ……余計な事考えられねぇようにしてやる」