第111章 交わる銀色※
ひとまずはこの部屋を調べる事にしよう。そう決めて今だに睨み合いを続けているジン達の間に入る。
『とりあえず部屋を調べよう。何か手がかりがあるかもしれないし』
2人は仕方ねぇ、と言わんばかりの態度でベッドを降り、それぞれ別の部屋の端へ。私は少し悩んでベッド周辺を調べる事にした。どちらのジンについて行っても面倒事にしかならない気がする。
そして、数分後。
「何もねぇ」
「何なんだ、この部屋」
2人が言うにはドアや窓といった外と繋がる通路はないらしい。地下通路や隠し扉がある様子もない。私もベッド周辺を探してみたがこれといったものはなかった。
この部屋にあるものは3人でも余裕で寝られるほどの大きなベッドとそれぞれが着ている服のみ。時間も確認しようがないから、ここに放り込まれてどのくらい経つのかもわからない。
『どうやってここに……』
「あるとしたら上だがな」
そう言われて天井を見上げた。蓋のように天井が被せられている可能性はある。しかし、肩車しても届きそうにない。仮に届いたとしても天井を人間の力だけで動かすのは無理があるだろう。
誰かの意思でこうなっているなら監視カメラなんてものもありそうだが、それもなかった。ますますわからなくなってくる。
ため息をついて視線を下ろす。現実とは思えない事があるのに、この状況を夢だと断言はできない。痛覚ははっきりしているし、ベッドのシーツや壁なんかも触った感覚もリアリティがある。
視線の先の2人は苛立っているようだ。理解できない状況だし無理は無い。きっとそれだけじゃないのだろうけど。
『……タバコもなかったもんね』
ヘビースモーカーのジンにはキツイのかもしれない。正直私も1本欲しい。
2人の視線が向けられた。1人はニヤリと笑い私の腕を掴む。そして、グッと引き寄せられ唇を塞がれた。
急な事に思考が追いつかない。ただ、段々深くなるキスはいつもと同じで。口内を好き勝手されて解放されれば、荒くなった息が口から漏れる。
『なに、考えてるの……』
「ハッ、こんな状況を作り出したヤツに見せつけてやろうと思ってな」
「……ああ、一理ある」
今度は背後から回された手が私の頭の向きを変える。そこにまた唇が重なった。服の中に手が入り込んできて、知っている感覚にますます訳がわからなくなっていく。