第108章 カイピリーニャは甘すぎる #2 ※
周りにいる男達がギョッと目を見開いた。実際は寸止めしたから唇同士は触れてないのだが、傍から見れば女同士でキスしたように見えただろう。
『……まだ何か?』
感情の凪いだ声で、冷たい視線を向ければ引き攣った笑みを浮かべて男達は去っていった。
『大丈夫?何もされてない?』
「……ああ」
『素が漏れてるわ。もう少し頑張って』
そう言ってピンガの手を取る。その指が若干強ばっている。もっと早く見つけてあげればよかった、と思いながら会場を後にした。
---
『……本当に大丈夫?』
メールで報告を済ませ、ベッドに座ったピンガを見る。マスクは剥ぎ取られていて、その下の肌がいつもより赤い気がした。
『お酒でも飲んだ?弱いの?』
「……違ぇ」
ここに来るまでも反応が鈍かったし、てっきり酔ったのかと思ったが違うらしい。うーん、単純に体調を崩した?そう思ってピンガの額に手を当てる。
「っ?!」
少し熱いか?なんて感じてすぐ、思いっきりその手を振り払われた。睨まれているのだが、前とは雰囲気が違う。いや、どう見てもおかしい。
『……何か心当たりある?』
「……シャンパン、たぶん、何か盛られた」
そう言ったピンガを見る。肌が赤く、おそらく体温も高い。息も荒くて……催淫剤、媚薬の類だろうか。慣れない女の姿で上手く断れなかったのだろう。面倒でも傍に置いておくべきだったか……なんて過去を振り返っても遅すぎる。
解毒剤があれば、とも考えたが元の薬がはっきりしない以上下手に飲ませる事はできない。
どうしたものか、と考えていると強く腕を引かれた。そして、そのまま背中に腕が回される。いつの間にか立ち上がったピンガに抱き締められていると数秒遅れて理解した。
『な、なに……』
「お前が相手してくれればいい」
『はぁ?!っ、ちょっと……!』
下腹部辺りにピンガのモノが押し当てられる。どうにか逃げ出そうとするも、力が強すぎて逃れられない。
「困ってたら、助けてくれるんだろ?」
『っ……』
耳元で囁かれる声にドクン、と心臓が音を立てた。
『それは……っ』
「身体あちぃし、頭イカれそう……なぁ、助けてくれよ」
ジンの姿がチラついて、でも、答えなんて決まっているようなもので。
『……今回、だけだからね』
私は助ける事を選んだ。