第99章 次は必ず
そして12年前になるとある組織の爆発事件。それに関してはほとんど情報が出てこなかった。表向きは解決したとなっているが、実際はそうではない。半分迷宮入りのような感じだ。そう考えるとため息を止める事はできない。
アイスコーヒーを啜っていると、ポアロの入口が開いてベルの音が響いた。なんとなく視線をそちらへ向けると、入ってきたのは探偵団の3人だった。
「こんにちはー!」
「あ!新一お兄さんだ!」
「ゼロの兄ちゃんもいるじゃねぇか!」
「久しぶりだね、みんな。元気にしてる?」
集まってきた3人に問いかけると口々に最近あった事を話してくる。どうやらここの来るまでの間に人助けもしたのだとか。
梓さんに促されてソファ席に向かっていく姿。2年も立てばその背中もいくらか大きくなったように見える。
「あの子達にはコナン君や灰原さんの事は伝えてないんだっけ?」
「ええ……でも、アイツらも案外鋭いところあったりするんです。もし、気づくような事があればその時はちゃんと話してやるつもりです」
「そうか……そういえば宮野さんアメリカから戻ってきたんだよね」
「そうですね。3日前にこっちに着いたらしいです」
宮野が怯える事無く外を歩いている様子を見るとやはり安心する。まだまだやるべき事はたくさんあるが、それでも狂った歯車は元に戻ってきている。
「梓さん、渡したいものってなんですか?」
「あっ、そうだ。ちょっと待ってて」
光彦の声に梓さんはパタパタとバックヤードへ入っていく。すぐに出てきたかと思うと、その手には紙袋を持っていた。
「これを探偵団のみんなに返して欲しいって言われたの。あなた達のもので間違いない?」
「んー?あ!歩美のハンカチ!」
「これ僕の傘です!」
「あの時の姉ちゃんか?」
「その様子なら間違いなさそうね。本当は直接渡したかったけどどうしても会うタイミングがなかったからって……たまたまここに入っていくのを見たから預けに来たって言ってたわ」
「そうなんだ!……これなんだろう?」
「手紙じゃねぇか?開けてみようぜ」
わいわいと話す3人から視線を逸らして降谷さんを見る。
「……降谷さん、どうしたんですか?」
その表情に思わず問いかけてしまった。しかし、返ってきたのは俺への返答ではなく。
「梓さん、あれを渡しに来たのってどんな人でしたか?」