第96章 作戦会議
「君に渡したいものがあってね」
安室さんはそう言ってポケットから少し厚みのある封筒を取り出し、それを灰原の方に差し出した。
「何よ、これ」
「君達なら見ればわかるんじゃないかな」
「……君達?」
「そう。灰原さんとコナン君、2人にはそれがきっと必要だから」
灰原は渋々とその封筒を受け取った。俺も立ち上がって灰原の横に立つ。そして、灰原は封筒の口を開け中に入っていたものを引き出した。どうやらそれは写真のようで。
「は……?」
それを見て言葉を失った。かさり、と封筒が落ちる。
「な、んで、これ……っ!」
灰原が取り乱したように声を上げた。無理もない。その写真には灰原の本来の姿、宮野志保の姿の姉の宮野明美さんが写っているのだから。
「……あの時の君は君じゃなかったみたいだから、改めて」
安室さんの雰囲気が変わる。その瞬間、灰原の肩が跳ねた。
「バーボン……これが僕のコードネームです」
「貴方、組織の……」
「まさか生きているなんて思いませんでしたよ、シェリー?」
「ひっ……」
灰原が腰を抜かして床に座り込んでしまった。震える灰原を庇うように前に立ち、安室さんを睨む。
「……もしかして、俺の事も知ってるのか」
「もちろん……高校生探偵の工藤新一君?」
「っ……」
「ちょっと、怖がらせすぎよ。そのために来たんじゃないでしょ」
水無さんの声に先程までの雰囲気が消えた。そして、また別の表情に変わる。
「本当の自己紹介をさせてもらう。公安警察特別警備企画課、通称ゼロ所属、降谷零だ」
「……アメリカ合衆国中央情報局、通称CIA所属の本堂瑛海よ」
「公安警察にCIA……?どういう事?」
「……奴らの組織に潜入してるスパイだよ」
「はあ?!貴方知ってたの?!」
灰原が掴みかかってくる。
「どこまで首突っ込めば気が済むのよ!」
「悪かったって……そんな事言っても信じねぇだろ?」
ギリギリと首が締まっていく。苦しい。
「待て、封筒……まだなんか入ってるだろ」
そう言うと解放された。落ちた封筒を拾い上げそのまま逆さにする。中から出てきたのは、USBと薬。
「嘘……なんで……」
「彼女に頼まれたんだ。必ず渡してくれってね」
「まさか……」
「きっと君が考えている人で間違いない」