第96章 作戦会議
コナンside―
「コナン君、今日この後時間あるかい?」
「……ないって思ってるから誘ったんでしょ」
学校からの帰り道。ポアロの前を通るとたまたま安室さんが外の掃除をしていた。試作があるからとポアロに誘われたから来たのだけど、1番の目的はこれだったらしい。まあ、本当に試作のケーキもあったようだけど。
「空いてるけど……」
「よかった。一緒に来て欲しいところがあるんだ。少し遅くなるかもしれないけど……」
あと1時間くらいでシフトが終わるから、と言い残して安室さんは別のお客さんのところへ行ってしまった。
わざわざそんな事を言うなんて何事だろう。あらゆる可能性を考えつつケーキを口に運んだ。蘭に連絡入れておかないとな。
「えっ、歩いて行くの?」
「そうだよ。そんなに遠くないしね」
てっきり何かの現場に連れ出されるのかと思っていたがどうやら違うらしい。見慣れた道を歩きながら安室さんを見上げた。
「……なんの仕事なの?」
公安なのか、探偵なのか、組織なのか……そういう意図を持ってたずねると、安室さんはチラリと俺を見た。
「……これから全部話すよ」
そう言って安室さんが足を止めたのは、阿笠博士の家の前。予想外の場所で驚いていると、反対側から誰かが歩いてきた。
「水無さん?!」
「僕が呼んだんだ」
「どういう事?」
「それもまとめて話すから」
「……絶対だよ」
そう言って博士の家の呼び鈴を押した。すぐにドアが開いて博士が顔を出す。
「しん……コナン君、と安室さんと水無さんも……一体どういう……」
「お話があるんです。少しお時間よろしいですか?」
「まあ、構わんよ」
博士の家の中に入る。ソファに案内されて俺は安室さんと水無さんが座る。俺は向かいのソファに座った。
「あの子はどこに?」
「哀君の事かね?呼んでくるから少し待っててくれ」
紅茶の入ったカップをテーブルに置いて博士は灰原を呼びに行った。
「灰原に用って……何を企んでるの?」
安室さんと水無さん……バーボンとキールが一緒なら組織の仕事だろうか。
数分後、博士の後に続いて灰原がやってきた。2人の姿を見て、俺の方を睨みつける。博士は向かいのソファに座ったが灰原は立ったままだ。
「私に何の用かしら」
「君に渡したいものがあってね」