第94章 vs FBI
『それじゃあ、終わったら連絡して』
そう言ってクルーザーを出し、少し離れたところで待機。
一応何人かで水面は見張っている。対岸の横須賀の岸へ向かう可能性もあるから。まあ、それだけの体力が残っていればの話ではあるけど。
新調したライフルを手に水面を見て、時々海猿島の方を確認して。
にしてもたった1人にここまで手がかかるものだろうか。ジンとラムの読みに張り合う誰か……赤井とコナン君の推理力は言わずもがなだが、それだけではない気がする。どちらにせよ、海猿島に隠れているFBIを守ろうとする理由があるはずだ。
ふと、冷えた風が生温くなった。背後が明るい……と思って振り返ると、海猿島が燃えていた。
何の理由もなしに島を燃やすとは思ってないけど、いくらなんでもやりすぎじゃないか……ライフルのスコープを覗くと、桟橋に人影が見えた。手前を走ってくるのがFBIだろうか。
FBIの胸から鮮血が散った。浮いた体が海に落ちていく。しかし、それで終わりではないらしい。
ジンがコートの内側から取り出したのは、手榴弾だろうか。ジンがそれを投げた。が、海に落ちるより先に何かに弾かれて空中で爆発した。
何かが飛んできたなみかぜ公園の方を向いても誰がいるのかわからない。もし、あれが狙撃だったとするならそれができるのは1人だろうけど。どちらにせよ、ここから狙撃するのは無理だ。
ライフルを下ろして周囲を見回す。すると、消防艇が近づいてくるのが見えた。
『チッ……』
急いでクルーザーを桟橋の方へ向かわせる。
「クルーザーを消防艇の逆側につけろ!」
『今向かってる。もうつくから』
「けど残念ですねぇ……結局殺したFBIの面は拝めずじまい」
「まあ殺したんだからいいんじゃない?」
そんな会話を聞きながらクルーザーを走らせる。
そして、先程始末した男は運転技術に秀でたFBI。そして、過去にコルンがどこかで見たらしい。
「コルン!コイツは何だ?!どこで会った?!」
「間違いない、コイツ見た……2年前、ラムが送ってきた写真、コイツだった」
2年前?疑問に思いながら会話を聞いていると、思わず舌打ちしたくなるような事実が発覚した。
2年前、赤井がNOCだとバレたあの時、コルンが倉庫の見張りをしていたらしい。もしかしたら、私が自分で自分を撃ったところを見ていたかもしれない。