第94章 vs FBI
リークされてないから大丈夫だと思いたい。
「懐かしい話ですね……」
通信器からの声に耳をすませる。
「今回の件はあの方からお叱りをうけました。少々目立ち過ぎたと……だがFBIが必死に守ろうとしていた男を葬った事は評価するとも」
ラムの言葉を聞きながらこの先の事を考えた。
この後控えている大きな計画が動き出す時はそう遠くない。私の計画をうまく実行するためにも少し急ぐ必要がありそうだ。
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自室に戻ってソファに座り込んだ。久々のクルーザーの運転だったせいか思ったより疲れてしまった。
ぼーっとしつつ、これから先の事を考える。やるべき事を脳内でリストアップして、優先順位を決めて……不確定な事がかなり多いがやるしかない。
どれだけ時間が残っているかも不安材料の1つだ。組織の大きな計画が動く前にこちらの計画は終わらせないと。任務の間を縫って、隙間の時間でどれだけ早く進められるか。誰かに協力してもらえる内容ではない。睡眠時間もギリギリまで削るか。
しばらくして、ジンも戻ってきたが表情は少し暗い。
『浮かない顔してるね』
「……」
『いいじゃない。始末できたんだし、それが何者なのかも確認したんだから』
ジンはコートと帽子を脱ぎ私の隣に座った。そっと顎をすくわれて唇を重ねられる。すぐに離れたがジンの表情は優れない。
『……どうしたの?』
「ラムが、不要ならお前を寄越せと」
『……へぇ』
「……冗談じゃねぇ」
『それで機嫌悪かったんだ』
そう言うとジンの顔が首元に埋められて、肌を強く吸われる。熱い舌が首筋を舐め上げて、手は身体のラインを撫でていく。
『待って、シャワー浴びさせてよ』
名残惜しそうにキスをされて一度開放された。素直なジンがなんだか可愛く思えてしまって、さっさとバスルームに向かう。急いで、でも丁寧に身体を流す。すぐ脱げるようにバスローブだけを羽織って部屋に戻ると、今度は入れ違いでジンがバスルームに入っていく。たぶん、今日はハードだな。体力どこまで持つだろう。
バスルームから出てきたジンはすぐに私をベッドへ押し倒した。
翌日。案の定身体中がだるかった。動けない程ではないからどうにか身体を起こし立ち上がった。
『ん……?』
いつもとは違うだるさに首を傾げた。風邪でも引いてしまっただろうか……。