第94章 vs FBI
そして、16時。暗号で示された場所に現れたFBIの前に姿を見せる。拳銃を低い位置で構えると男達は大きく舌打ちをした。
「Shit!」
『……見張りお願い』
「ええ」
一緒にいたキールに声をかけて逃げ出した男達を近くの廃ビルの屋上へ追い込む。その先にはジン達がいる。背後には私。もう逃げ場はない。
屋上に上がりきった男達が息を飲んだ。1人の男が腰を抜かして地面に座り込む。ジンが間髪入れずに座り込んだ男の脳天を撃ち抜いた。そして、ジンの拳銃はもう1人の男を捉えた。
「さあ、てめぇらの隠れ家を……」
『っ……?!』
もう1人の男はジンの言葉が終わるより先に走り出し、屋上の柵を乗り越え身を投げる。すぐに下からドシャっと嫌な音が聞こえた。
駆け寄って下を覗き込んでみると……まあ、この高さから落ちたんじゃ助からないだろう。
「チッ!仲間のようにはなりたくなかったんだろうが、まさか飛び降りちまうとはな」
「フン……FBIのハエ共が空でも飛べると思ったか」
その間に脳天を撃ち抜かれた男からIDを抜き取る。下に落ちた男の分も回収しないと。
「ガキだ!フードを被ったガキが死体に近づくよ!」
「俺、撃てる……」
キャンティとコルンがスコープを覗きながら言った。
「殺るかい?」
「ああ……一撃で仕留めろよ」
「待って!」
キャンティとコルンが引金を引くより先に通信器からキールの制止する声が聞こえた。
「野次馬が3人増えたわ!やけに警察の到着が早そうだし、野次馬の口封じは諦めて撤収しましょ!」
キールの言う通り、徐々に近づいてきているサイレンの音が聞こえる。野次馬の誰かか、近づいた子供が通報したんだろうか。
「しかし兄貴……奴の死体からまだFBIのID抜き取ってやせんぜ?」
「構わねぇよ」
『いいの?』
「FBIもこの国の許可なしに勝手に組織を嗅ぎ回ってんだ……組織の存在を公にして騒ぎ立て、腹の中を探られたくはねぇだろ。世間的には騒ぎになるだろうがな」
「確かに……」
「ズラかるぞ!」
そろそろFBIのヤツらも暗号が解読されている事に気づくだろう。別の手を考えるはず……と思っていたのに。2時間後、また暗号を傍受した。
「何?!またFBIの暗号メールを傍受した?!ガセじゃないだろうねベルモット!!」