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【名探偵コナン】黒の天使

第85章 重なる影※


上下の服を脱いで、下着だけになる。どうしたものか……と手を止める。全て脱いでいいんだろうか……と悩んでいると、背を向けた沖矢から声がかかった。

「ああ、下着はつけたままで構いませんよ」

『……はい』

小さく返事をして、ブラのホックに伸ばしていた手を下ろした。

傷があることは伝えたが、それでも見られるのは……そう思って、手で右肩と腹部の銃創を隠した。

「……恥ずかしいんですか?」

いつの間にかこちらへ向き直っていた沖矢の声にゆっくり顔を上げていく。沖矢の身体。下から眺めていく。よく鍛えられているのがわかるほどガッシリしていた。

『……工学部の大学院生ってそんなに鍛える必要あるんですか』

「……趣味の一環ですよ。気づいたらこうなっていたんです」

『そうなんですね……ん?』

目に付いたのは、首に巻かれたチョーカーのようなもの。先程までは気づかなかった……いや、気づきようがなかった。沖矢はハイネックの服を着ていたから。チョーカーならば、ファッションの一環だし見せてもいいのでは?

「……一応言っておきますが、研究中のものなので触らないでくださいね」

私の視線に気づいたのか沖矢がそう言った。小さく頷くと、また距離が近づく。そして、肩を隠す私の手に触れた。

「大丈夫です。見せてくれませんか?」

沖矢から目を逸らしてゆっくり手を退けた。何も言われないまま時が流れていく。

『っ……』

指が右肩に触れて、ブラの肩紐が下げられる。顔が近づけられて、傷跡にそっとキスが落とされた。1回だけではなく、何度も何度も優しいキスが落とされる。

腹部の傷跡にも手が伸ばされた。肌を撫でる手が少しくすぐったくて身をよじる。

『……どうしたんですか』

沖矢の表情はどことなく苦しげで、やはり傷跡は見て気分のいいものではなかったのか、と不安になる。

「貴女の綺麗な肌に傷をつけた輩に少し苛立っただけです」

『……沖矢さんが怒る必要ないです』

「その傷を残した相手を恨んでいないんですか?」

『……お腹の方はまだしも、肩の傷は少し後悔してます。でも、これは私の意思で決めたことなので』

「……貴女は私が思っているより強い方のようですね」

沖矢は呟くように言って、また右肩へキスを落とした。

「続きをしても?」

また小さく頷いた。今度は唇が重ねられた。
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