第82章 子供の頃のアダ名
「亜夜ちゃんに呼ばれても反応しねえなんて……さすがのお前もこの毒殺事件は解けねえか?」
「毛利先生も解けてないんでしょ?だったら僕に解けるわけありませんよ!」
『そんなに難しい事件なんですか?』
「ああ、まあな……」
そう言って毛利小五郎は事件の事をざっくり話してくれた。毒が仕込まれていたのは、ハーブティーではなくカップの飲み口であったこと。しかし、倒れるまでにもハーブティーを何杯か飲んでいた……誰かのカップと入れ替えた可能性があるが、全員ハーブティーの色は違っていた。
これだけの情報では私には何もわからない。バーボンでもわかってないのか……コナン君もあの様子じゃまだみたいだし。
「ほら!もう帰るよ!」
「あ、でも事件が……」
「ああ、亜夜さんに聞いたよ……でもねコナン君。窓の外を見てみて……青いお空が真っ赤になっちゃってるでしょ?子供は帰る時間なの……」
蘭ちゃんのその言葉を聞いた瞬間、コナン君の顔色が変わった。同じように外を眺めていたバーボンの顔も。
事件現場へ戻っていくコナン君へ蘭ちゃんが慌てて声をかけているが、止まる様子もない。
「もう……!」
『何かに気づいたんじゃない?それなら、すぐに事件も解決すると思うし大丈夫よ』
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言った通り、あの後すぐに事件は解決した。ハーブティーにはレモンを入れるとその酸性に反応して色が変わるものがあるらしく……犯人の女性の飲んでいたバタフライピーという青いハーブティーは、レモンを入れることで赤くなり……それを被害者女性のカップと入れ替えたと。
ただ……犯行動機を聞いてしまえば少しばかり同情した。人を蹴落とすことに躊躇いのないヤツもいるらしい。よくここまで生きてこられたとすら思ってしまった。
事件も解決したし、蘭ちゃん達と一緒に病院を後にする。
「しかし、見舞い客を毒殺とはな……」
「正直呪われてますよ、この病院……前にもいろいろあったみたいだし」
「いろいろ?」
「アナウンサーの水無怜奈が入院してたって噂になったり、怪我人が押し寄せてパニックになったり……爆弾騒ぎもあったとか」
……心当たりがありすぎるな。あの作戦にバーボンは関わっていなかったし、思い出さなくても無理はないが。
「た、高木刑事!もう警視庁に帰んなきゃいけないんじゃない?」