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【名探偵コナン】黒の天使

第81章 再調査


バーボンはそれを避けたが、ここはホテルの一室。次々と手足を繰り出しても、避けたり受け流すだけで反撃はこない。それが余計に腹立たしい。

勢いよく脚を払えばバーボンの体が倒れた。もちろん受け身は取ったらしい。が、少しの隙を見てその体に馬乗りになる。そして、その首を両手で掴んだ。

「……何の真似ですか」

『腹が立ってるの』

結果としてあの子は生きてるからいいものの……最悪のことだってあったかもしれない。

『情報は流せと言ったはずよ?私があの列車に乗っていなければきっと何も知らずに終わってたわ……明美の時みたいに』

グッと手に力がこもるのがわかった。それでも引き剥がそうとしないのは……私が本気でないと思っているからだろう。

『それなのに協力して欲しいですって?都合が良すぎるんじゃない?』

徐々に力を込めていくと私の手首をバーボンの手がそっと掴んだ。

「……すみません」

何に対しての謝罪なのかはわからなかった。でも、それに気が削がれたのも事実で。力を抜いて手を離し、ポツリと呟いた。

『バーボン』

「……なんですか?」

『私に、隠し事、しないで』

「……ええ」

『……』

私だって抱えている隠し事は多いのに何を言ってるのかと思う。

きっとバーボンは何か大きな秘密がある。根拠のない、ただの勘でしかないけど。ただでさえ秘密主義だし。抱える秘密が何なのかはわからないが……最悪の可能性、NOCではないと信じたい。

『……都合が良すぎるとは言ったけど、信じるだけの情報が用意できたら教えて。気分次第では付き合ってあげるから』

脚に力を入れてバーボンの上から退いた。でも、立ち続ける気はなくて数歩歩いてからベッドに腰掛けた。

『……まだ何かある?』

「いえ……情報が集まり次第また連絡します」

服を軽くはらってそのままバーボンは出ていった。

『はぁ……』

ポスン、とベッドに倒れ込む。一応誤魔化せたようでよかった。にしても……赤井か。生きてるわけがない思いたいのだが、一度諦めたバーボンがまた動こうとしている。だから、赤井が生きている可能性を否定しきれない。有り得ないと思っているのに、何かを見落としているかと考えてしまう。

……予測できるわけがない。あの時、キールに頭を撃ち抜かれることを。しかも、それを指示したのはその様子を見ていたジンなんだから。
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