第73章 隠す者達
「おい!そこのガキ共!」
男の怒鳴る声が聞こえてきた。どうやら子供達のうちの誰かが捕まったらしい。どうする、このままじゃまずい。ふらふらと立ち上がって見たものの策なんて何も……
ドンッ
『っ?!?!』
ものすごい大きな銃声に思わずうめき声をあげる。そして、目を閉じて盗聴器の音を聞いていた方の耳を抑えた。うわ、耳鳴りが……バーボン、覚えてらっしゃい。
「ちょっと?大丈夫?」
繋いだままの手をグッと引かれた。
『え……ああ、急に立ったから立ちくらみが』
「そう……ならいいけど」
目を開けると、銀行内に機動隊が突入しているところだった。さっきの銃声がきっかけになったようだ。これで一安心か。
耳鳴りがおさまる頃子供達が出てきた。無事なようで何よりだ。
「あれ?亜夜お姉さんだ!」
「偶然ですね!もしかして亜夜お姉さんも中に?」
『ううん、お金おろそうと思ったら鍵閉まっちゃって入れなかったの。君達が中にいるって聞いてヒヤヒヤしたわ。無事でよかった』
「まあ、当然の結果ね。江戸川君とFBIの捜査官がいたんだもの」
「いや、今回は」
「この子達少年探偵団のおかげよ!」
そう言うと3人は嬉しそうに笑った。
『ジョディさん、FBIだったんですね』
「え?ええ、まあ……」
『すごい!映画とかでしか見たことなかったので!』
ニッコリと笑顔を向けると、子供達は疑問に思ったのか質問攻めだ。まあ、英語教師として知り合ったみたいだし。
「どうしたの?浮かない顔して」
「最後に犯人を拳銃で撃った人、誰だったんだろって思ってさ……」
そんな2人の声に耳を傾ける。
「ジョディ先生は気絶してたし、あの状況で撃てる人なんているのかな?」
……そういえば、どうしてバーボンは犯人を撃ったんだろう?ほとんどの人は目隠しをされていたからよかったかもしれないが、わざわざそんな目立つことをした理由は?後で問い詰めよう。
「しかし、とんだ災難だったなジョディ君」
「さっきまで酒屋にいたから気づかなくて……」
と、2人の男が近づいてきた。コイツらもFBIか。なんとなく視線を向けると、髭のはえた方と目が合う。わずかに目を見開かれたが……会った記憶はないんだけど。
「ねえ!亜夜お姉さん!」
『わっ、なあに?』