第72章 紙飛行機の謎
「ところで……」
沖矢さん?が口を開きかけたところで2人が戻ってきた。その手にはなぜか紙飛行機。
『それ何?』
「うちの庭に落ちてたんです!」
「知りませんか?一昨日から都内でたくさん見つかってるらしくて……」
『……ああ。ニュースで見たかも』
確かもう既に100機近く見つかっているとか……イタズラだろうしあまり気にしてなかったんだけど。
園子ちゃんが沖矢昴さんに紙飛行機を手渡す。紙飛行機には丸印と棒線。それの数からして……もしかしたら。
『……誰か困ってるのかもね』
「えっ?」
そう呟くと蘭ちゃんが疑問の声を上げる。
「興味深い暗号ですね……」
「もしかしてもうわかっちゃったの?もしかして亜夜さんも?」
「ええ。おそらくこの紙飛行機は……SOSだと。貴女もそう思ったんですよね?」
『まあ……それより、急いだ方がいいと思いますよ』
「急ぐって?」
「どうやら事態は緊急を要しているようです。もしあるなら、別の種類の紙飛行機を速やかに見せて頂きたい……」
どうやら工藤新一にも紙飛行機の画像を送ったらしく、沖矢さんの言ったこととほぼ同じ内容のメールが来たらしい。なぜか金一だと名前を誤魔化したけど……うん。
そして、先程のウェルカムバーガーの店にも紙飛行機があったらしい。
『あ、私も……』
「大丈夫です!すぐ帰ってきます!」
そう言って蘭ちゃんと園子ちゃんは出ていってしまった。この男と2人きりはなんか嫌だなぁ……通されたのが書斎でよかった。にしてもものすごい数の本。ざっと見る限り推理小説が多いようだ。ここの家主はあの推理作家の工藤優作だしね。
「亜夜さん」
『っ?!』
私名乗ったっけ?!そう思って慌てて振り返る。
「ああ、すみません。先程そう呼ばれていたものですから」
『……お気になさらず。何か?』
「いえ、貴女もずいぶん頭の切れる方なのかと」
『たまたまですよ。この間見た洋画でモールス信号が使われてて……興味があって調べてみただけです。そういう貴方こそ』
「これでもミステリー好きなもので」
なんでこんなに楽しそうなんだろう……よくわからない人だ。
『ところで、武道か何かやってらしたんですか?』
「……なぜ?」
『蘭ちゃんの蹴りを上手く躱したように見えたので』